
地域共生社会の実現に向け、福祉制度のあり方が今、大きな転換期を迎えています。
令和7年12月18日、社会保障審議会福祉部会の報告書が公表されました。
しかし、これが実際に自分たちの経営にどう関係するのか、すぐにイメージできない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、様々な論点があるなかで、「社会福祉連携推進法人制度」の見直しに焦点を当てて解説します。
主に介護保険部会報告書22ページから24ページの内容を中心に、制度の変更点とその意義を解説します。
※まだ法改正されたわけではないことはご留意ください、今後変更となる可能性もあります。あくまでも報告書ベースでの解説となります。
1. 社会福祉連携推進法人制度とは?これまでの役割

まず、従来の制度をおさらいしておきましょう。
単独の法人だけでは対応が難しくなってきた課題を、“連携”という形で支え合うための仕組みでした。
従来の主な役割(社会福祉連携推進業務)
これまでは、以下の6つの業務を柱として、社員法人の経営基盤強化や効率化を支援することが主目的でした。
2.災害時支援業務
3.経営支援業務
4.貸付業務(資金の融通)
5.人材確保等業務
6.物資等供給業務
しかしこのこと以外のことができなかった
これまでは制度の趣旨から、社会福祉連携推進法人が自ら「社会福祉事業(デイサービスや特養の運営など)」を行うことは禁止されていました。
あくまで「支え役」としての存在だったのです。
この点が、なかなか連携推進法人が増えない要因ではないかと、指摘されることも少なくありませんでした。
2. 何が変わるのか?「社会福祉事業実施」の新旧比較
今回、最も注目されているのがこの部分です。
今回の報告書では、過疎地域等におけるサービス維持や、連携による効果的な事業実施を推進するため、
と示されました。
制度の大きな変更点は以下の通りです。
【図表】社会福祉連携推進法人制度の新旧比較
「自由化」というより、今後の人口減少、深刻な働き手不足の到来という現実に則すための変更、という印象ですね。
3. 事業解禁のための「要件」
「なんでも自由に事業ができる」というわけではありません。社会福祉法人との役割分担や、利用者の保護という観点から、以下の3つの要件があります。
① 実施できる事業の範囲(第二種に限定)
第一種社会福祉事業(特養など)は、高い継続性と安定性が求められるため、原則として地方公共団体や社会福祉法人に限定されます。
社会福祉事業での「守るべき役割分担」は、引き続き重視されています。
② 地域のニーズと「空白」の証明
当該地域において、
・かつ「他の事業主体の参入が期待できない」状況である場合
に限られます。
「新たな事業展開としてやりたいからやる」という制度ではない、という点が重要ですね。
③ 本来業務の維持
連携のための連携推進法人、という軸はブレていません。
4. なぜ今、この見直しが必要なのか?(背景と期待)

この見直しの背景にあるのは、2040年に向けて加速する「人口減少」と「担い手不足」です。
特に過疎地域や中山間地域では、一つの法人の力だけでは事業の継続が困難なケースが増えています。今回の見直しには、以下のような期待が込められています。
⚫︎経営の効率化: 連携法人として一括して事業を担うことで、重複する事務コストを削減し、現場にリソースを集中させる。
⚫︎柔軟な参入: 社会福祉法人格を持たない連携推進法人でも、地域の「困りごと」に直接アプローチできる道を確保する。
「制度を変えること」そのものが目的ではなく、地域の暮らしを守るための選択肢を増やす、という意図が読み取れます。
5. 事務負担の軽減もセットで実施
制度の普及を阻んでいた要因の一つに「事務手続きの重さ」がありました。
今回の報告書では、認定所轄庁と法人の双方の負担を減らすため、代表理事の再任手続きの緩和なども盛り込まれています。使いやすい制度へとブラッシュアップされる予定です。
まとめ
社会福祉連携推進法人制度は、静かに、しかし確実に次の段階へ進もうとしています。
単なる「仲良しグループ」の枠組みを超え、地域福祉を直接支える「持続可能なサービス提供主体」へ。
今後の法改正の動きにも、引き続き注目が必要です。
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社会福祉法人愛生会 理事長 / 趣味は神社仏閣巡りです。大宮の氷川神社と成田山新勝寺はずっと通い続けています。これからの社会福祉法人経営の悩み、問題、課題を一緒に考えていきましょう。

ましも法律事務所 代表/ 再び「スラムダンク」にはまっています。「最後まであきらめない」気持ちが仕事に向き合う姿勢と共感するからでしょうか。休日には「乗り鉄」の子供と一緒に関東近郊に「電車の旅」に出ています。車窓を見ながら本を読む時間が楽しみです。

所属:GSPartners / 大手会計事務所でM&A、組織再編など幅広い案件に携わってきました。地元秋田に戻ってからは、社会福祉法人監査など社会福祉事業に関する業務も手掛けております。皆様の課題解決の一助となれれば幸いです。週末は、小学生の息子と日帰り温泉巡りをしています。
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