事業譲渡とは?|社会福祉法人の事業譲渡の全体的なポイント及び留意事項 その①

社福経営者Aさん

最近、社会福祉法人の事業譲渡について耳にすることが増えました。でも、具体的に何を指すのかよくわからなくて…。



むらき

安心してください!一つずつ解説します^^

POINT事業譲渡とは、特定の事業に関する資産や設備、職員、契約などを別の法人に引き継ぐことです。
例)高齢者施設を運営している法人が、その施設を別の法人に譲るケース  など
社福経営者Aさん

なるほど。法人ごとではなく、一部の事業だけを引き継ぐ形なんですね!



むらき

そのとおりです!

POINT社会福祉法人の事業譲渡は、法人同士が合併することでもなく、また単純にその事業の土地や建物の売買をするだけとも違い、事業運営に関わる許認可や契約、土地と建物などの財産の取り扱いなど、慎重に進めるべきポイントがあります。

譲渡事業の継続可能性を確認しよう

社福経営者Aさん

厚労省のマニュアルには、「譲渡する事業が譲受法人でもそのまま続けられるのか、事前確認する」とありますが…。



むらき

はい、それが最も重要なポイントの一つです!



社会福祉法人の事業は法律によって運営できる法人の種類が決まっているため、事前にしっかり確認しないと、あとで問題になる可能性があります。

事前確認のポイント

むらき

事前確認のポイントは、以下の通りです。

POINT

1.事業の許認可の確認
 ・社会福祉法人が実施できる事業かどうか
 ・第1種社会福祉事業(特別養護老人ホーム、障害者支援施設など)の場合、原則として社会福祉法人のみが経営可能

2.事業所管行政庁への確認
 ・事業の許認可を行う行政庁(事業所管行政庁)に事前相談を行う
 ・必要な手続きを確認し、譲渡計画を適切に進める

社福経営者Aさん

もし許認可が取れなかったら、譲渡そのものが成立しないんですね!



むらき

そうなんです!だからこそ、早い段階で確認し、譲受法人が適切に事業を継続できるのかをしっかり見極めることが大切です。

所轄庁に確認し、協議しておく

社福経営者Aさん

事業譲渡って、法人同士で話がまとまればすぐできるものじゃないんですね。



むらき

そうなんです!



社会福祉法人の事業譲渡は、基本財産の処分や補助金を受けた財産の扱いなど、多くの承認が必要になります。

そのため、
事前に所轄庁と十分に協議することが必須です。

所轄庁と事前協議を行う理由

1.基本財産の処分に関する承認が必要

Tips・法人の基本財産を譲渡する場合、所轄庁の承認が求められる
・必要に応じて、定款変更の手続きも伴う

2.国庫補助金を受けた財産の処分

Tips・補助金を受けて取得した財産を譲渡する場合、厚生労働大臣などの承認が必要
・適切な財産処分の手続きを経ないと、補助金の返還を求められる可能性がある

3.さらに借入債務などの調整も必要になります

Tips独立行政法人福祉医療機構や金融機関からの借入債務がある場合、当該事業を行っている不動産への抵当権の設定などがありますので、その抹消手続きなどが必要になることがある。
社福経営者Aさん

つまり、法人同士の合意だけじゃなく、所轄庁や金融機関ともちゃんと話し合って、必要な承認を取らないといけないんですね。



むらき

そのとおりです!事業譲渡は、譲渡法人にとっては事業の終了手続き、譲受法人にとっては新規事業の開始手続きとなるので、計画的に進めることが大切です^^

まとめ

今回は、事業譲渡の全体像と留意点について解説しました。

今回の記事のポイント

・事業譲渡は、法人の存続に関わる重要な決定である

・譲渡する事業が、譲受法人で継続できるかを必ず事前確認する

・所轄庁や金融機関など関係機関との事前協議を徹底する

社福経営者Aさん

次回は、もう少し具体的なことを知りたいです。


むらき

では、次回は具体的な事業譲渡の流れについて解説しましょう!


次回の記事では、具体的な手続きについて詳しく見ていきます!

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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