

最近、社会福祉法人の事業譲渡について耳にすることが増えました。でも、具体的に何を指すのかよくわからなくて…。

安心してください!一つずつ解説します^^
例)高齢者施設を運営している法人が、その施設を別の法人に譲るケース など

なるほど。法人ごとではなく、一部の事業だけを引き継ぐ形なんですね!

そのとおりです!
譲渡事業の継続可能性を確認しよう

厚労省のマニュアルには、「譲渡する事業が譲受法人でもそのまま続けられるのか、事前確認する」とありますが…。

はい、それが最も重要なポイントの一つです!
社会福祉法人の事業は法律によって運営できる法人の種類が決まっているため、事前にしっかり確認しないと、あとで問題になる可能性があります。
事前確認のポイント

事前確認のポイントは、以下の通りです。
1.事業の許認可の確認
・社会福祉法人が実施できる事業かどうか
・第1種社会福祉事業(特別養護老人ホーム、障害者支援施設など)の場合、原則として社会福祉法人のみが経営可能
2.事業所管行政庁への確認
・事業の許認可を行う行政庁(事業所管行政庁)に事前相談を行う
・必要な手続きを確認し、譲渡計画を適切に進める

もし許認可が取れなかったら、譲渡そのものが成立しないんですね!

そうなんです!だからこそ、早い段階で確認し、譲受法人が適切に事業を継続できるのかをしっかり見極めることが大切です。
所轄庁に確認し、協議しておく


事業譲渡って、法人同士で話がまとまればすぐできるものじゃないんですね。

そうなんです!
社会福祉法人の事業譲渡は、基本財産の処分や補助金を受けた財産の扱いなど、多くの承認が必要になります。
そのため、事前に所轄庁と十分に協議することが必須です。
所轄庁と事前協議を行う理由
1.基本財産の処分に関する承認が必要
・必要に応じて、定款変更の手続きも伴う
2.国庫補助金を受けた財産の処分
・適切な財産処分の手続きを経ないと、補助金の返還を求められる可能性がある
財産処分の解説その①「財産処分とは?」
財産処分の解説その②「国庫納付の判断基準・ルール」
財産処分の解説その③「転用について」
財産処分の解説その④「必要書類と手続き」
財産処分の解説その⑤「申請〜承認までの期間」
3.さらに借入債務などの調整も必要になります

つまり、法人同士の合意だけじゃなく、所轄庁や金融機関ともちゃんと話し合って、必要な承認を取らないといけないんですね。

そのとおりです!事業譲渡は、譲渡法人にとっては事業の終了手続き、譲受法人にとっては新規事業の開始手続きとなるので、計画的に進めることが大切です^^
まとめ

今回は、事業譲渡の全体像と留意点について解説しました。
・事業譲渡は、法人の存続に関わる重要な決定である
・譲渡する事業が、譲受法人で継続できるかを必ず事前確認する
・所轄庁や金融機関など関係機関との事前協議を徹底する

次回は、もう少し具体的なことを知りたいです。

では、次回は具体的な事業譲渡の流れについて解説しましょう!
次回の記事では、具体的な手続きについて詳しく見ていきます!

【社会福祉法人愛生会 理事長】趣味は神社仏閣巡りです。大宮の氷川神社と成田山新勝寺はずっと通い続けています。これからの社会福祉法人経営の悩み、問題、課題を一緒に考えていきましょう。

再び「スラムダンク」にはまっています。「最後まであきらめない」気持ちが仕事に向き合う姿勢と共感するからでしょうか。休日には「乗り鉄」の子供と一緒に関東近郊に「電車の旅」に出ています。車窓を見ながら本を読む時間が楽しみです。

大手会計事務所でM&A、組織再編など幅広い案件に携わってきました。地元秋田に戻ってからは、社会福祉法人監査など社会福祉事業に関する業務も手掛けております。皆様の課題解決の一助となれれば幸いです。週末は、小学生の息子と日帰り温泉巡りをしています。
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