『利用者や利用者家族、地域への説明』~社会福祉法人の新設合併のための手続き その8〜

本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」に基づき、

この記事の内容社会福祉法人の新設合併における「利用者や利用者家族、地域への説明」のポイント

を詳しく解説します。

新設合併では、利用者やその家族、地域住民に対して合併の意義や影響を適切に説明することが重要です。

透明性のある情報共有を行うことで、関係者の理解と協力を得られるよう努めましょう。


▼吸収合併の場合の「利用者・利用者家族・地域への説明」は以下の記事をお読みください。



▼ 前ステップである「職員の処遇の検討および説明」については以下の記事をお読みください。

利用者や利用者家族、地域への説明を行う意義

新設合併では、法人の体制やサービス内容が変わることがあります。
これに伴い、利用者や家族、地域住民に対して以下の点を伝えるようにしましょう。

説明を行う目的

①サービスの安定性
新設合併後もサービスが継続される安心感を提供する。

②信頼関係の構築
関係者の不安を軽減し、信頼を保つ。

③地域との協力体制の維持
地域住民からの理解を得ることで、新法人としての活動を円滑に進めることができる。

実施事項

「利用者や利用者家族への合併の説明」で行うことは、以下の2つです。

実施事項①利用者や利用者家族への新設合併の説明
②地域への新設合併の説明

以下で詳しく解説します。

1. 利用者や利用者家族への合併の説明

サービス内容や利用料金の変更有無

合併後も利用者が受けるサービスや利用料金が変更される場合には、明確に伝える必要があります。

Tips変更がある場合は、利用契約の再締結を行い、同意を得ましょう。

説明方法

利用者やその家族向けに説明会を開催するほか、参加が難しい場合は書面やオンライン説明を活用して情報を共有します。

Tips説明会に参加できない利用者やご家族には、説明資料を送付するなどの対応が望ましいです。

2. 地域への合併の説明

地域説明会の実施

地域住民や自治会長などの代表者を対象に、地域説明会を行います。
その際、以下の情報を伝えることが重要です。

POINT・合併の目的と背景
・新法人の運営方針
・地域との協力体制の継続
Tips説明会で出された意見や質問は記録に残しておきましょう。後々の対応に役立てることができます。

ポイントと注意点

利用者や利用者家族、地域への説明を行う際は、以下の点に注意しましょう。

POINT

①説明のタイミング
合併交渉が進行中の段階で情報を公開すると、憶測や噂が広がり、交渉に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、基本合意書または契約書が取り交わされた後に説明を行うことが推奨されます。

②透明性の確保
情報を隠さず、透明性をもって説明することが、関係者からの信頼を得る鍵となります。

③地域の事情に配慮
説明内容や対象者は、その地域の特性や法人の歴史に応じて柔軟に設定しましょう。

まとめ

今回は、新設合併における利用者や利用者家族、地域への説明について解説しました。

新設合併では、透明性をもった説明を行い、関係者の不安を取り除くことが重要です。

特に、サービスの変更がある場合には、利用者や地域住民に対する丁寧な説明が求められます。

関係者の理解と協力を得られるよう、計画を立てて進めていきましょう。


▼吸収合併の「利用者や利用者家族、地域への説明」は以下の記事をご覧ください。



村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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