職員の処遇の検討および説明 ~社会福祉法人の新設合併のための手続き その7〜

本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」に基づき、

この記事の内容社会福祉法人の新設合併における「職員の処遇の検討および説明」のポイント

を詳しく解説します。

▼前ステップである「会計・税務処理」については以下の記事をお読みください。

職員の処遇検討・説明の基本

POINT新設合併における職員の処遇は、基本的に吸収合併と同じで、労働条件がすべて承継されます

▼吸収合併の「職員の処遇の検討および説明」は以下の記事で詳しく解説しています。


このステップを踏むことで職員の雇用が保護され、新設合併後も安定した働き方が継続されます。

ただし、職種や給与体系の違いなど、統一すべき点については慎重な検討が必要です。

以下に、具体的な実施項目と注意点を解説します。

実施要項

① 給与体系、就業時間や休暇規程の検討

新設合併後の法人では、以下の労働条件について見直しを行う必要があります。

POINT

給与体系
職種ごとの基本給や手当の統一を図ります。

就業時間と休暇規程
勤務時間や休日制度の違いをすり合わせ、新しい規程を整備します。

② 合併後の職員の役職や配置の検討

合併後の組織体制に合わせて、職員の役職や配置を再検討します。
既存のスキルや経験を考慮しながら、適切な人員配置を目指しましょう。

③ 職員への説明

職員に対して、新しい労働条件や組織体制について丁寧な説明が必要です。

POINT労働条件が大きく変わったり、職員に不利益が生じる場合は、変更内容や代替案を文書で説明し、職員の同意を得る必要があります。

また、労働組合がある場合は、労働協約も承継されるため、労使の合意内容を確認しておきましょう。

職員の不安を解消し、納得感を持たせるため、以下のポイントを心がけましょう。

・具体的な変更内容を明示
・個別面談や説明会を活用

④ 就業規則の労働基準監督署への提出

POINT新設法人で整備した就業規則は、必ず労働基準監督署に提出して承認を受けます。

この手続きにより、適法な労働条件が整備されます。

ポイントと注意点

1. 労働条件の承継

冒頭にも書きましたが、基本的には吸収合併と同様に、労働条件はすべて承継されます。

これにより、職員の雇用が保護されます。

2. 給与体系の見直し

職種ごとの基本給や手当について、統一基準を設ける必要があります。

特に給与水準に大きな隔たりがある法人同士の合併では、すり合わせが大きな課題となります。

必要に応じて、以下の手段も検討しましょう。

POINT・外部専門家(弁護士や社労士など)の活用
・職員の意見を取り入れた柔軟な調整

3. 説明の重要性

労働条件の変更によって、職員が不安や不満を抱く可能性があります。

職員が安心して新しい環境で働けるよう、誠実で透明性のある説明をすることが大切です。

まとめ

今回は、新設合併における職員の処遇の検討と説明について解説しました。

新設合併後の法人運営を円滑に進めるには、職員の処遇に関する統一基準を設けるとともに、丁寧な説明と合意形成が欠かせません。

給与体系の見直しや就業規則の整備には、専門家の協力を得ながら進めることを検討しましょう。

 

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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