『事業譲渡等の契約』|社会福祉法人の事業譲渡のための手続き その⑥

この記事の内容本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」(158~155ページ)をもとに、
『社会福祉法人の
事業譲渡等の契約』について解説します。

事業譲渡の条件や内容が確定したら、正式な契約書を作成し、契約を締結するのが一般的です。ただし、法律上の義務はないため、実際の運用ではどうすべきか判断に迷うこともあるでしょう。

本記事では、契約の重要性や理事会での決議の必要性について、わかりやすくお伝えします。

▼これまでの流れについて
は以下の記事をごらんください。

事業譲渡契約の締結とは?

POINT事業譲渡の条件や内容が確定したら、事業譲渡契約書を作成し、契約を締結します。

契約書を交わすことで、お互いの合意内容が明文化され、後々のトラブルを防ぐことができます。

社福経営者Aさん

契約書って絶対に作らないといけないんでしょうか?



むらき

法律上の義務はありませんが、後のトラブル防止のためにも作成するのが望ましいかと思います。

事業譲渡契約書を作成した方がいい理由

POINT

法的には、事業譲渡契約書の締結は義務ではありません
つまり、契約書を作らなくても事業譲渡自体は成立します。

しかし、以下の理由から契約書を作成することが推奨されます。

契約書作成が推奨される理由

①契約内容を明確にし、後々の紛争を防ぐため
口頭の合意では、後から「言った・言わない」のトラブルに発展しやすい。

②譲渡条件を明文化し、お互いの責任を明確にするため
誰がどこまで責任を持つのか、はっきりさせておくことが重要です。

③基本財産の処分や新たな義務負担が発生する可能性があるため
財産の移転や負債の引継ぎがある場合、契約書で整理しておくことでリスクを減らすことができます。

むらき

契約書があれば、こうしたリスクを防げるんです!

理事会での承認も必要な場合がある

事業譲渡の契約を締結する際、場合によっては理事会での承認を得ることが必要になります。

特に以下の場合は、理事会の決議をしておいたほうがよいでしょう。

理事会の承認が必要になりやすいケース

POINT

①基本財産の処分が含まれる場合
例えば、譲渡対象に法人の不動産や重要な資産が含まれるケース。

②新たな義務負担(債務引受など)が発生する場合
借入金や補助金の承継に関する取り決めがあるケース。

③法人の運営に大きな影響を与える契約内容がある場合
定款変更など、事業譲渡後の法人運営方針に関わる内容を含む場合。

社福経営者Aさん

契約の内容によっては、理事会での決議も必要になるんですね!



むらき

そうです!特に財産の処分や新しい義務が発生する場合は、事前に理事会の承認を取っておくのが安心です。

まとめ

本記事では、事業譲渡等の契約について解説しました。今回のポイントをまとめると以下の通りです。

POINT
  • 事業譲渡契約書は法的義務ではないが、作成するのが望ましい

  • 契約書がないと、後のトラブルに発展するリスクがある

  • 基本財産の処分や新たな義務負担が発生する場合は、理事会の承認を取ることが望ましい

契約書をしっかり作成し、理事会での承認も適切に進めることで、安心して事業譲渡を行うことができます。今回の記事を参考に、スムーズな契約締結を目指してください!

当サイトでは、社会福祉法人の合併や事業譲渡についてのアドバイスをしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。