
事業譲渡の条件や内容が確定したら、正式な契約書を作成し、契約を締結するのが一般的です。ただし、法律上の義務はないため、実際の運用ではどうすべきか判断に迷うこともあるでしょう。
本記事では、契約の重要性や理事会での決議の必要性について、わかりやすくお伝えします。
▼これまでの流れについては以下の記事をごらんください。
事業譲渡契約の締結とは?
契約書を交わすことで、お互いの合意内容が明文化され、後々のトラブルを防ぐことができます。

契約書って絶対に作らないといけないんでしょうか?

法律上の義務はありませんが、後のトラブル防止のためにも作成するのが望ましいかと思います。
事業譲渡契約書を作成した方がいい理由
法的には、事業譲渡契約書の締結は義務ではありません。
つまり、契約書を作らなくても事業譲渡自体は成立します。
しかし、以下の理由から契約書を作成することが推奨されます。
①契約内容を明確にし、後々の紛争を防ぐため
口頭の合意では、後から「言った・言わない」のトラブルに発展しやすい。
②譲渡条件を明文化し、お互いの責任を明確にするため
誰がどこまで責任を持つのか、はっきりさせておくことが重要です。
③基本財産の処分や新たな義務負担が発生する可能性があるため
財産の移転や負債の引継ぎがある場合、契約書で整理しておくことでリスクを減らすことができます。

契約書があれば、こうしたリスクを防げるんです!
理事会での承認も必要な場合がある

事業譲渡の契約を締結する際、場合によっては理事会での承認を得ることが必要になります。
特に以下の場合は、理事会の決議をしておいたほうがよいでしょう。
理事会の承認が必要になりやすいケース
①基本財産の処分が含まれる場合
例えば、譲渡対象に法人の不動産や重要な資産が含まれるケース。
②新たな義務負担(債務引受など)が発生する場合
借入金や補助金の承継に関する取り決めがあるケース。
③法人の運営に大きな影響を与える契約内容がある場合
定款変更など、事業譲渡後の法人運営方針に関わる内容を含む場合。

契約の内容によっては、理事会での決議も必要になるんですね!

そうです!特に財産の処分や新しい義務が発生する場合は、事前に理事会の承認を取っておくのが安心です。
まとめ
本記事では、事業譲渡等の契約について解説しました。今回のポイントをまとめると以下の通りです。
- 事業譲渡契約書は法的義務ではないが、作成するのが望ましい
- 契約書がないと、後のトラブルに発展するリスクがある
- 基本財産の処分や新たな義務負担が発生する場合は、理事会の承認を取ることが望ましい
契約書をしっかり作成し、理事会での承認も適切に進めることで、安心して事業譲渡を行うことができます。今回の記事を参考に、スムーズな契約締結を目指してください!
当サイトでは、社会福祉法人の合併や事業譲渡についてのアドバイスをしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

【社会福祉法人愛生会 理事長】趣味は神社仏閣巡りです。大宮の氷川神社と成田山新勝寺はずっと通い続けています。これからの社会福祉法人経営の悩み、問題、課題を一緒に考えていきましょう。

再び「スラムダンク」にはまっています。「最後まであきらめない」気持ちが仕事に向き合う姿勢と共感するからでしょうか。休日には「乗り鉄」の子供と一緒に関東近郊に「電車の旅」に出ています。車窓を見ながら本を読む時間が楽しみです。

大手会計事務所でM&A、組織再編など幅広い案件に携わってきました。地元秋田に戻ってからは、社会福祉法人監査など社会福祉事業に関する業務も手掛けております。皆様の課題解決の一助となれれば幸いです。週末は、小学生の息子と日帰り温泉巡りをしています。
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