【質問回答1】社会福祉法人の生き残り戦略とは?|多角化・多機能化、小規模法人の生き残り戦略、社会福祉連携推進法人のQ&Aまとめ

このページでは、セミナーなどで皆様から寄せられたリアルなお悩みや疑問、質問にお答えします!

「社会福祉法人の多角化・多機能化」や「小規模法人の生き残り戦略」、「社会福祉連携推進法人」について一問一答形式でまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

 

もくじ
  1. 多角化・多機能化についての質問
  2. 小規模法人の生き残り戦略についての質問
  3. 社会福祉連携推進法人について

多角化・多機能化についての質問

Q1.(介護関係事業における)地域需要を把握するためにはどのような手段がありますか?

ご質問ありがとうございます。
地域需要を把握するには、

①マクロの視点
②ミクロの視点

この2つを意識されるといいかと思います。

①マクロの視点
その地域の人口動態の統計データを参照されるといいかと思います。
自治体の公開資料などから、年齢構成や世帯数の推移などを確認・把握することができます。
②ミクロの視点
もっと現場に近い視点でニーズを知りたい場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんに直接話を聞いてみるのが一番の近道です。

ケアマネジャーは、日々利用者さんやそのご家族と関わりを持っており、リアルなニーズや課題を把握しています。複数の事業所かつ複数のケアマネジャーから話を聞くことで、共通する課題や地域の傾向も見えてくるはずです。

このように「データ」と「現場の声」の両方をバランスよく取り入れることで、より実態に即した事業展開が可能になると思います。

Q2.社会福祉施設と地域との互恵性のある事業展開について教えてください。

POINT私は互恵性を意図として考えるのではなく、結果としての互恵性が重要であると思っています。

法人や施設がその地域に対して何でもできるわけではありません。

たとえば、私たちの法人では、

「厨房や居室などの設備を地域に開放したらどうだろう?」

そんな発想からスタートしましたが、実際にやってみると、

・お弁当が必要な高齢者の方(=「びお弁」という配食サービス)
・災害や急病など緊急時も含めた暮らすための居室(=「第3の部屋」としてどなたでも使える居室を提供)

など、思った以上に喜ばれる場面が多く、ニーズの大きさを実感しました。

ですので、まずは自法人にてどんなことをやりたいのか、どんな思いをもっているのか、そんなことを考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

Q3.私たちの法人における今後の事業展開の方法についてアドバイスをお願いします。

こちらはケースバイケースですので、なかなかお答えするのが難しいです。

ですが、大切なのは、

POINT「私たちは何を大事にしてきたのか?」
「この地域でどんな存在でありたいのか?」
そうした”原点”に立ち返ることだと思っています。

まずは自法人の使命や価値観と向き合ってみてはいかがでしょうか。納得のいく事業展開への第一歩になるはずです。

Q4.放課後等デイサービスとこども園を連携させるときの注意点はありますか?

こども園と放課後等デイサービス(放デイ)を連携させたい、というご相談をよくいただきます。

実際、私どもも保育所の旧園舎を活用して、児童発達支援や放課後児童クラブ、放デイを多機能的に運営しています。その中で気をつけていることは、

①障がい特性への配慮
・放デイの利用児童は、障がいや特性によって、突発的な行動を起こされることもあります。
こども園の子どもたちと交わる際には、怪我や事故の防止が最優先です。

・職員の目が届く範囲での活動に限定したり、活動時間やエリアを分けたりするなど、安全面の配慮が欠かせません。

②発達段階の違いに注意
こども園は「未就学児」、放デイは「就学児」。
つまり、体格や力の差が大きく、活動内容も異なります

たとえ同じ建物内であっても、一緒に過ごす場面は慎重に設計する必要があります。

こども園は未就学児、放デイは就学児となりますので、体の大きさや力が全然違いますので、互いが一緒に過ごすというのはかなり厳しいかと思います。

同一建物でやられることはいいかと思いますが、安全面などには細心の配慮が必要かと思います。

Q5.子どもが少ない地域で園児の奪い合いが起きています。事業継続のために食事提供サービスなどの新事業を検討していますが、どう判断・実行すればよいでしょうか?また、地域の子ども食堂や企業との連携のヒントがあれば教えてください。

厳しい事業環境のなかで、何か手を打ちたいのに何をとっかかりとしていいかわからず、なかなか先に進むことができないというお気持ちはとてもよくわかります。

私の場合は、全国青年会や全国経営協の方たちの様々な先進事例をどんどん見に行きました。

・小児科を併設したこども園
・洗濯代行事業を組み合わせて「手ぶら登園」を実現した園
・地域の企業や食堂と連携した取り組み

など、地域ニーズに応じて新しい仕組みを生み出している園がたくさんありました。

そうした挑戦をしている方たちは皆さん、「まわりと同じようなことをやっていては生き残ることができない」という危機感をお持ちでした。

質問者さまも、様々なところを視察しに行くことで見えてくることもあるのではないでしょうか。

そしてもう一点は、経営者としての覚悟も必要かと思います。

みんなで考えることも大切ですが、ご自身がどんな園にしたいのかを考え、その思いを形にするために覚悟を決めて取り組むことも必要ではないかと思います。

Q6.介護保険事業の報酬が頭打ちで将来が不安です。保険外事業を始めた方がいいのでしょうか?具体的な事例があれば教えてください。

【保険外事業=収益事業】ということであれば、収益事業でも様々な事業ができます。

たとえば、

病院などの医療機関を収益事業として運営
 (※無料低額診療所を社会福祉事業として行うケースもあります)

障がい者の就労支援事業
 ・クラフトビールや焼酎などの酒類製造
 ・ガソリンスタンドの運営

 など、幅広い業種での取り組みをされている方々もいらっしゃいます。

「どこにでもあるサービス」ではなく、「うちの法人だからできること」を見つけていくことが、これからの時代のカギになるかもしれませんね。

Q7.社会福祉法人で、あまり資金をかけずに収入源を作るにはどうすればいいですか?

ご質問のように「できるだけお金をかけずに」新たな収益を生むのは簡単なことではありませんが、

POINTすでにある設備やサービスを活かすことで、可能性が見えてくることがあります。

たとえば、

特別養護老人ホームにある厨房を活用して、お弁当の製造・販売を始める
 (地域のお弁当ニーズに応えつつ、調理スタッフの稼働を有効活用)

空きスペースを地域イベントや会議室として貸し出す

施設の洗濯設備を地域向けに開放する(洗濯代行など)

小さなことでも、「地域の困りごと」と「自法人の資源」をうまく掛け合わせることで、新しい収入源につながる可能性があります。

まずは、自分たちの法人の中に”眠っている資産”がないか見直してみるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。

小規模法人の生き残り戦略についての質問

Q1.地方では法人の合併や大規模化が進んでいますが、小規模法人が今やるべきことは何でしょうか?

人口減少が進む中、「小規模だから生き残れない」「大規模なら安心」と考えがちですが、私はそれは少し違うと思います。

POINT

・大規模でも、赤字の施設を集めただけでは運営は長続きしません。

・小規模でも、その法人が地域にとって価値ある存在であれば、継続できる力があります。

つまり、法人の「規模」よりも、

・地域で果たす役割

・利用者や職員から選ばれる価値

・自分たちが持っている強み

を発揮しているかということに尽きるのではないかと思います。

ですので、この質問に対する答えとしては、小規模かどうかよりも、その法人や事業の価値を高めていく努力を積み重ねていけるか、というふうに考えています。

Q2.保育園1園だけ運営しています。人口減少により今後が不安です。介護事業への参入はアリでしょうか?

質問者さまのご不安、とてもよくわかります。私たちも、今年度(令和6年度)で保育事業から撤退しました。

ご質問のように「介護事業に参入すべきか」という問いですが、その前に少しだけ視点を変えてみるのも良いかもしれません。たとえば、

✅今の保育事業と親和性の高い事業に広げる
 → 児童発達支援、放課後等デイサービス、学童など

✅介護事業に取り組む場合も
 → 保育園とデイサービスを併設し、園児と高齢者が交流できる形にすることで、他にはない強みになります。

このような視点を取り入れることで、他の保育園との差別化にもなるかと思います。

実際に、園児と要介護高齢者と障がい者が同一の建物で混ざり合いながら事業されている法人さんもあります。
詳しくはお問い合わせください。

Q3.「1法人1施設」で継続している好事例はありますか?

「好事例」という言葉の定義が難しく、一概にこれが正解!とは言いきれないのが正直なところです。

ただし、1法人1施設だからといって、

「小さいからもうダメ」
「多機能化や大規模化しなければ生き残れない」というわけではありません。

たとえば、

・園児がちゃんと集まっている

・職員の定着率も高い

・地域に根ざした特徴がある

こうした園や施設は、規模にかかわらず安定して運営されているケースが多くあります。

つまり大事なのは、「小さいかどうか」ではなく、
地域の中で選ばれる価値を発揮できているかという点かもしれません。

社会福祉連携推進法人について

Q1.社会福祉連携推進法人の法人数は増えてきていますか?M&Aとの違いについて教えてください。

2025年3月時点で、社会福祉連携推進法人の設立数は30法人にとどまっており、現時点では「急激に増えている」という状況ではありません。

「M&A」との違いをざっくりと説明すると、以下のとおりです。

POINT

・M&A→法人そのものを譲渡・合併する仕組み

・連携推進法人→法人はそのまま存続しつつ、連携・協働を行う仕組み

つまり、法人の“独立性”を保ちながら協力できるのが連携推進法人の特徴です。

連携推進法人では、主に6つの事業ができることになっていますので、ぜひ厚労省等のホームページを参照されてください。
このサイトでも連携推進法人の解説記事を制作中です!

Q2.連携法人といっても市町村ごとに制度の捉え方が違い、地域でのズレを感じます。これをどう捉えればよいでしょうか?

POINT本当にご指摘のとおりで、保育・介護・障がいなど、それぞれの分野が縦割りで動いている現状があります。

市町村や都道府県によっても対応のばらつきがあり、「地域共生社会」という掛け声とは非常にギャップがあるのが現実です。

ただ、そのことを悲観していても変わりません。

連携法人であるなしかかわらず、私たちの存在意義というものを私たち自身で築き、発信していくことで、地域や行政に気づいてもらう必要があるのではないかと思います。

「連携推進法人」は、そんな想いや取り組みを実現するための「手段のひとつ」と考えると、前向きに活用できるかもしれませんね。

Q3.社会福祉連携推進法人の設立が思ったほど進んでいないと思われますが、なぜだと思いますか?

ご指摘のとおり、連携推進法人の設立は現時点では全国的にも進んでいない状況です。

その理由のひとつとして、「設立するメリットやインセンティブが感じづらい」という点が大きいのではないでしょうか。

実際、連携推進法人でなければできない事業も存在しますが、そうしたメリットがまだ広く知られていないのが現実です。

この点については、国も認識しており、厚労省の「地域共生社会の在り方検討会」でも議論されています。

POINT今後、制度の見直しや支援強化が行われる可能性もあるため、最新の動向を注視しておくことが大切です。

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村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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