

【社会福祉法人愛生会 理事長】趣味は神社仏閣巡りです。大宮の氷川神社と成田山新勝寺はずっと通い続けています。これからの社会福祉法人経営の悩み、問題、課題を一緒に考えていきましょう。
社会福祉法人の経営と政策金利の上げ下げなどの金融政策は関係あるの?「あります!」
社会福祉法人を経営していることと、政策金利の上昇などの金融施策がどうつながってくるのか、あまり関係ないと思っていないでしょうか?
私は「ある!」と思っています。
日銀の植田総裁が、2024年7月31日の会見で「0.25%」政策金利を引き上げることを表明しました。
日銀 追加利上げ決定 政策金利0.25%程度に【総裁会見詳細も】 | NHK
金利上昇が社会福祉法人経営に及ぼす影響とは?
我々社会福祉法人と政策金利の上昇はあまり関係ないように見えますが、私は当然関係すると思っています。
理由を簡単に述べます。
・今後の事業計画上での大規模な借入を予定している場合、調達金利など前提条件を見直す必要がある
・職員たちの変動金利で借りている住宅ローンの利払いも上がる
(給与が上がらなければ可処分所得は目減りする)
・逆に銀行等に預金している利子も増える(個人も同様)
このような影響がいきなりとは言いませんが、早晩でてくると思われます。
日銀はなぜ金利を上げる必要がでてきたのか

日銀が利上げした理由・背景には物価高騰・インフレがあります。
消費者物価指数(CPI)の推移を見ても、今年に入ってからも前年同月比で2%台後半がずっと続いてます。
ではなぜ物価は上昇したのでしょうか?
その一因をチャートで表すと、
↓
(主に米国との)内外金利差拡大
↓
円安進行
↓
輸入価格上昇
↓
物価高騰
こんな感じになりますね。
(他にも様々な要因があると思いますが、一法人経営者に過ぎませんので、このようなざっくりとした理解をしています)
▼こちらの記事では、現在のインフレ・物価高騰に至った背景や原因について解説しています。
よければ読んでみてください。
電気代の高騰などはまさにこの図式が成り立ちますね。
歴史的(1970年代のいわゆる狂乱物価の時代)にも、インフレ・物価高騰の時代は社会に不満が蓄積されやすいという経緯があります。(モノやサービスの値段が上がり、生活が苦しくなるので当然ですね)
今回の日銀の決定もそうした世論があったことは言うまでもありません。
金利を上げることによる財政当局への影響

社会福祉法人経営でも影響が考えられますが、それは財務省など財政当局も同じではないでしょうか。
そして財政当局の状況(特に予算状況)は、介護報酬などの公定価格で事業をしている我々は当然見ていく必要があると思います。今後金利を上げることで財政当局にはどのような影響が考えられるでしょうか。
ざっくりとしたチャートで表すと、
↓
国債(地方債含)の利払いが増える
↓
予算に占める利払費の割合も増える
↓
予算の自由度が減る(可能性がある)
というふうに推移する可能性があると思っています。
国の国債利払い費、金利1%上昇で8.7兆円上振れ 財務省試算 – 日本経済新聞
金利が上がると当然利払いが増える、そうすると予算上で使えるお金が減っていくことになります。
もちろん、経済成長によって税収が増えることも想定されていますので、この通りになるかは分かりません。
ですが、上にも書いたとおり、社会福祉法人は、
・支援費報酬
・運営費等のこれら公定価格
によって事業、経営しています。
その公定価格にも大きな影響を及ぼす予算の自由度が減る可能性がある金利上昇については、今後しっかり見ていく必要があるのではないでしょうか。
また単純に、物価高騰、インフレによって法人経営が厳しいこと、賃金格差が拡大していくことに対して、政府や財務省など財政当局へ、公定価格や処遇改善手当の増額(=財政負担等)をお願いすることも大切ではありますが、
についても、考えていく必要があるのではないかと思っています。
まとめ
ここまで、政策金利の上昇が社会福祉法人経営にどのように影響していくかを見てきました。
⇒円安を是正、インフレ抑制、借入金利も上昇、景気を冷やす可能性、国債などの利払い増
◾️金利を上げない
⇒円安を容認、インフレが続く可能性、その分賃金が増えなければ国民の不満が高まる
以上のような、矛盾、難しいかじ取りを日銀は迫られていいます。
そしてその影響は国債の利払い増など財債当局にまで当然影響していく、ということも見てきました。
私たちの経営や、職員たちの賃金を改善するためにも、報酬や処遇改善の増額を求めるばかりではなく、
・物価スライド化 などの規制緩和
も同時に求めていく視点も必要ではないでしょうか。
いずれにせよ、社会福祉法人の経営に関わる皆さんは、金利の動向など金融施策には注意して見ていきましょう。

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