社会福祉連携推進法人とは?その①|仕組みやメリット、合併との違い

「他の法人と連携したいけど、どうしたらいいんだろう?」
「合併じゃなくて、もっとゆるやかにつながる方法はないの?」

そんな声に応えるかたちで誕生したのが、社会福祉連携推進法人という仕組みです。
この記事では、社会福祉連携推進法人の基本的な概要を、はじめての方にもわかりやすく解説します!

「連携推進法人」とは?

社福経営者Aさん

村木さん、最近“社会福祉連携推進法人”という言葉を聞きますが、それってどんな法人なんですか?



むらき

簡単に言うと、複数の社会福祉法人が“ゆるやかに連携”するために設けられた新しい法人形態のことです!

POINT2022年4月に制度がスタートしたこの仕組みは、社会福祉法人やNPO法人など、地域で福祉を担うプレイヤーが“お互いの力を活かし合って”課題に立ち向かうことを目的としています。

背景にあるのは、福祉の“担い手不足”

少子高齢化が進み、地域の福祉ニーズはますます多様化しています。

一方で、社会福祉法人の数は全国に約20,000法人ありますが、その多くは小規模。

人材不足、財源確保、事業継続の悩みを一つの法人だけで解決するのは難しい時代になってきました。

POINTこのような背景から、「お互いの得意分野を活かし合いながら、無理なく連携して地域全体で福祉を支える」ことを目指して生まれたのが、社会福祉連携推進法人です。

どんな仕組み?

POINT社会福祉連携推進法人は、“新たに設立される法人”で、既存の法人が「社員」として参加します。

ポイントは、合併や統合とは違い、それぞれの法人が存続しながら連携するという点です。

たとえば、

・事業は今まで通り自法人で実施

・お金や職員の管理も各法人ごと

・あくまで「協力・連携」のための“プラットフォーム”的な存在

むらき

つまり、今の法人の独立性を保ちながら、「連携できるところは一緒にやっていこう」という仕組みです。

社会福祉連携推進法人で“できること”

社会福祉連携推進法人で実施できる主な事業は、以下の6つです。

分野

内容の例

① 地域福祉支援業務

地域貢献事業の企画・立案、
地域ニーズ調査の実施、
事業実施に向けたノウハウ提供など

② 災害時支援業務

応急物資の備蓄・提供、
被災施設利用者の移送、
避難訓練、
BCP策定支援など

③ 経営支援業務

経営コンサルティング、
財務状況の分析・助言、
事務処理代行など(介護分野は届出が必要)

④ 貸付業務

社会福祉法人である社員に対する資金の貸し付け
(※要件・上限・報告義務あり)

⑤ 人材確保等業務

採用・募集の共同実施、
人事交流の調整、
研修の共同開催、
現場実習等の調整など

⑥ 物資等供給業務

紙おむつやマスクなどの一括調達、
給食の供給など

 

社福経営者Aさん

「連携」といっても、幅広い取り組みが可能なんですね!


むらき

そうですね!必要に応じて柔軟に活用していける点が、連携推進法人の魅力かと思います!特に中小規模の法人にとっては、連携することで自分の法人だけではなかなか難しいことができたり、メリットも大きい制度だと思います。

どんな法人が参加してるの?

POINT2025年3月時点で、全国で30の連携推進法人が設立されています。

数としてはまだ多くはありませんが、地域やテーマによって少しずつ立ち上がり始めています。

たとえば…

● 県内の福祉法人が集まって介護人材の確保に取り組む
● 保育園・障害施設・高齢者施設など異なる種別でノウハウ共有
● 廃業リスクのある法人を支援する仕組みとして活用

まとめ:「連携」は、いまの時代に合った“選択肢”

「経営が厳しいから合併しなきゃ…」
「ルールや理念が違う法人と一緒にやるのは不安…」

そういった悩みに対して、社会福祉連携推進法人は「一緒にできるところから始める」中間的な選択肢になります。

無理のない形で連携しながら、将来的に合併などを見据えるステップにもなります。

今回のまとめ⚫︎社会福祉連携推進法人は、地域の福祉を守るための“連携プラットフォーム”

⚫︎各法人が独立を保ちながら、必要な部分で協力できる仕組みになっている

⚫︎合併とは違い、“ゆるやかに連携”する新しいカタチ

▼次回は、「社会福祉連携推進法人で期待される効果」というテーマでお届けします!

 

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村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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