社会福祉法人の合併2パターン、「吸収合併」と「新設合併」の違いについて

こちらのカテゴリでは「社会福祉法人のために合併・事業譲渡等マニュアル」をわかりやすく解説しています。

社会福祉法人が合併を検討する際、全体の流れを理解することが重要です。

そしてその前に、
▼「なぜ法人間連携・合併・事業譲渡を視野に入れるべきなのか」を解説したこちらの記事もお読みください。

この記事では、合併のパターンについて詳しく解説します。

合併のパターンは2種類

合併には、大きく分けて2つのパターンがあります。

それぞれの特徴を理解し、どの合併方式が自法人に適しているか検討することが大切です。

吸収合併

Tips吸収合併とは、一方の法人が他の法人を吸収し、存続法人が権利・義務を引き継ぐ形で合併を完了させる方式です。

吸収された法人は消滅し、存続法人が事業を引き継ぐことになります。

POINT吸収合併は、合併後も存続法人の名前や組織が維持されるため、比較的スムーズに統合が進む

というメリットがあります。

むらき

例えば、これまで介護事業を中心にやっていた法人が、比較的規模が小さい同じ介護事業をやっている法人を吸収合併することなどが考えられますね。

新設合併

Tips新設合併は、既存の法人がすべて消滅し、新たな法人(ここでは「C法人」)を設立する形で合併を行う方式です。

この新設されるC法人が、A法人とB法人の一切の権利や義務をすべて承継し、事業運営を引き継ぎます。

すべての法人が対等な立場で新法人に移行するため、組織の再編や経営方針の統一が必要になります。

POINT新設合併は、合併後に新たな理念やビジョンを持つ法人を設立したい場合に適しています。
むらき

その地域における福祉サービスの確保、維持のために、仮にそれまで保育事業や介護事業、障がい事業をそれぞれでやっている法人が合併する際に、新たな法人としてスタートすることもありますね。

理事の交代

合併のパターンには当てはまりませんが、社会福祉法人の場合は、理事が替わることで経営権を取得することも可能です。

ただし、理事の任命権は評議員会にあるため、理事になるためには、まずは評議員会にて選任されなければなりません。

ただその場合には、

・いわゆる乗っ取りのような不適切な経営権の移行
・経営権の売買にあたる金銭的授受

などが行われた場合、その理事や評議員等の役員は、結果として法人に損害を負わせた場合には、損害賠償責任と刑事責任を負っています。

そういった特別の利益供与の禁止が法律上規定されていることもしっかりと認識しなければなりません。

▼詳しくは以下の記事にまとめましたので、お読みください。

いずれにせよ、

・その地域の福祉サービスのどのように資するのか
・利用者、職員にとって安心してサービスを受けられる、安定的に仕事ができる

という視点があっての移行であることを忘れてはいけません。

まとめ

この記事では、合併のパターンについて解説しました。

自分たちの法人はどのパターンを選ぶべきか?

それは合併を検討している法人の意向と、お互いの関係性や、それぞれが主に行っている社会福祉事業、さらに地域の実情なども加味した上で、お互いが納得いくまで協議・話し合いをもつことが重要なのではないでしょうか。

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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