
福祉医療機構(WAM)による合併支援業務が開始されます
合併を検討・希望する社会福祉法人から情報登録を受け付け、希望条件の合う法人同士を引き合わせるマッチング支援を令和7年4月より開始するWAMのホームページ上に専用フォームを設置し、登録法人に対して条件の合致する相手先を無料で紹介する形で、円滑な合併・再編を後押しするとのことです。

このような合併のマッチング支援業務が開始される背景
これまでも規制改革会議やデジタル行財政改革会議において、社会福祉法人の「大規模化・協働化」、「経営力の強化」、「経営の効率化」などの方向性が掲げられ、社会福祉法人の経営基盤強化を推し進めてきました。
法人間連携を図るために社会福祉連携推進法人の取組も促進などもそうです。
今回の合併のマッチング事業の開始もその一環かと思われます。
このマッチング支援業務の課題について

「引き合わせただけ」・「紹介しただけ」ではそれほど意味がない
おそらく今後詳細が発表されるかと思いますが、それぞれ合併を希望する法人をマッチング・紹介しただけでは、具体的な合併にはなかなか進めないように思います。
なぜそう思うのかを具体的に、以下4点にまとめておきます。
1.「合併後の法人理念や組織文化のすり合わせ」という課題
合併による組織拡大は、人的資源や資金面、オペレーションの効率性などでのメリットをもたらす一方、経営理念や組織文化が異なる法人同士がひとつになるため、摩擦が生じる可能性があります。
たとえば、職員の配置や給与体系、施設の運営方針について、互いの考え方を調整しすり合わせることが必要になり、それには相当な時間と労力が必要になるかと思います。
私たちの事業は「労働集約的な事業(=人がいなければ成り立たない)」であることも考慮して、さまざまな相違点を把握し、すり合わせるための丁寧な議論を重ねる体制づくりが求められます。
▼以下の関連記事もお読みください。
2.事業領域(事業種別)の問題
というのも重要なことかと思います。
仮に介護事業をメインとしている法人と、障がい事業や保育事業をメインとしている法人とでマッチングした場合、競合しないという意味ではそれぞれの事業の強みを一層強化することができるかもしれません。
しかし、法人同士が現場レベルで融合していくためには、そもそもの前提となる制度が異なるため、相当な時間と議論が必要になるかと思います。
逆に同じ領域(介護と介護など)での合併となると、議論のしやすさなどはあるかと思いますが、いずれどの事業所を存続させるか、または廃止するかなど、事業所の統合・再編などを議論していく必要があるのではないかと思います。
3.法人の所在地域の課題
というのも、とても重要なことです。
私たちの事業はその地域の福祉計画と紐づいていることが多々あります。
また実際に勤務する職員も、転勤など大きな異動が伴う仕事ではないことを前提としている方も多いのではないでしょうか。
そのなかで、仮に全く異なる地域同士(仮に秋田と鹿児島などで)でマッチングすることになったとして、これほど遠方な法人同士が合併することでのメリットを双方が感じることができるのでしょうか。
このあたりの課題は実際の運用では考慮されるようになるかと思いますが、いずれこのマッチング支援業務がどのような仕様になるのかをしっかり把握する必要があるのではないかと思います。
4.DD(デューデリジェンス)など吸収される側法人の実態把握について

このマッチング支援事業は、資料によれば、吸収される側と吸収する側をマッチングする「吸収合併」を想定しているようです。
吸収する側法人は、吸収される側法人のさまざまな法的な権利義務を承継します。
そのため、社会福祉法人や社会福祉事業に精通した弁護士や公認会計士など専門家によるDDが必要になるかと思います。
▼DDについては以下の記事でも解説しています。
以上見てきたように、マッチング支援を行ったとしても、その後双方の法人においては、そこからがスタートラインだということを考えていく必要があるように思います。
まとめ
今回は【政策動向の解説】として、令和7年4月から福祉医療機構で開始される「社会福祉法人の合併支援業務」の紹介と課題について解説しました。
その課題として、
2.事業領域(事業種別)の課題
3.法人の所在地域の課題
4.DD(デューデリジェンス)など吸収される側法人の実態把握について
の4点を挙げました。
今後、この支援業務に関する追加の詳細情報が公表されるかと思いますので、引き続き注目してみていきたいと思います。
合併・事業譲渡や事業継続や承継等について疑問がありましたら、いつでも問い合わせください。
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