

【社会福祉法人愛生会 理事長】趣味は神社仏閣巡りです。大宮の氷川神社と成田山新勝寺はずっと通い続けています。これからの社会福祉法人経営の悩み、問題、課題を一緒に考えていきましょう。

再び「スラムダンク」にはまっています。「最後まであきらめない」気持ちが仕事に向き合う姿勢と共感するからでしょうか。休日には「乗り鉄」の子供と一緒に関東近郊に「電車の旅」に出ています。車窓を見ながら本を読む時間が楽しみです。

大手会計事務所でM&A、組織再編など幅広い案件に携わってきました。地元秋田に戻ってからは、社会福祉法人監査など社会福祉事業に関する業務も手掛けております。皆様の課題解決の一助となれれば幸いです。週末は、小学生の息子と日帰り温泉巡りをしています。
社会福祉法人の吸収合併を進める際、合併契約は重要なステップです。
本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」に基づき、
・消滅法人の手続き
・実際の事例における取り組み
を詳しく解説します。
合併契約書作成〜締結までの流れ

社会福祉法人の合併契約における実施要項は、以下の2点です。
・合併契約の締結
1.合併契約書の作成
これにより、合併条件が明確になり、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。
1-1.合併契約書作成の流れ
合併契約書作成の流れは、以下のとおりです。
【合併契約書作成の流れ】
1.各法人が合併の目的や条件を明確にし、契約書案を作成します。
2.作成した案を基に、両法人で詳細を検討します。
3.必要に応じて、専門家の助言を受けながら最終的な内容を確定させます。

各法人がその中身等詳細をチェックするためにも、合併検討委員会などの協議体を設けること。弁護士や会計士、社会保険労務士などの専門家と一緒に、内容を確認していくことも大切です。
1-2. 合併契約書に含めるべき主な項目

合併契約書には、法的要件をすべて含むことが求められます。
合併契約書に含めるべき主な項目は以下の通りです。
◾️法人の名称と所在地
合併する法人の正式名称と所在地を明記します。
◾️合併効力発生日
合併が正式に効力を持つ日を記載します。
この日を境に、吸収存続法人がすべての権利と義務を引き継ぎます。
◾️職員の処遇
合併後の職員の雇用条件や待遇を明確にします。
特に、給与や役職に関する変更があれば具体的に記載します。
◾️財産・負債の引き継ぎ
合併後の資産や負債がどのように承継されるかを詳細に記載します。
◾️その他の合意事項
両法人間で特に合意した条件(例: 合併後の事業方針や役員体制)を追加します。

合併契約書を作成するにあたって、弁護士等の専門家の支援を得ることでスムーズに作成できることもあります。ぜひ活用を検討していきましょう。
1-3.理事会での審議と承認
合併契約書を作成したら、各法人の理事会で契約内容を審議し、承認を得ます。
2.合併契約の締結
2-1.評議員会での承認

合併契約について完全に合意したら、評議員会を招集します。
決議を採り、正式に締結します。
透明性を確保するため、評議員全員に対して十分な説明を行い、納得を得ることが重要です。
消滅法人の手続きについて
合併により消滅する法人には、以下の手続きが求められます。
解散登記の実施
法務局において、消滅法人の解散登記を行います。
これにより、法人の解散が法的に記録されます。
財産と負債の整理
消滅法人の財産や負債は、契約書の内容に基づき吸収存続法人へ引き継がれます。
未解決事項の処理
消滅法人が保有していた契約や事務手続きを吸収存続法人が引き継ぎ、処理します。
記録の保管
消滅法人の議事録や財務資料は、吸収存続法人が適切に保管します。
実際の事例における取組み・工夫点

▼「合意形成」については、こちらの記事で詳しく解説しています。
この早期対応により、その後の協議がスムーズに進みやすくなります。
以下は、実際の合併事例において実施された工夫です。
ケース1. 事業の継続と施設の改善
吸収される法人側の要望として、
「施設の改修や改築を行うこと」
が合併条件として盛り込まれました。
この場合、合併契約の中で改修計画を具体的に提示し、吸収後の運営方針と整合性を持たせることで、法人間の信頼関係が強化されます。
ケース2. 役員体制の調整
存続法人は、吸収される法人の役員から1名を理事として受け入れることで、双方の法人が一体感を持って合併後の運営を進められる体制を整えました。
ケース3.合併後の不安解消
吸収される法人の職員については、雇用条件を十分に配慮することが契約書に盛り込まれ、合意されました。
特に給与や勤務時間が従来の条件と大きく変わらないよう調整されることで、職員が安心して働き続けられる環境が整備されます。
これらの工夫は、法人間の信頼を築きながら合併を円滑に進める重要なポイントです。
「自法人の場合は、具体的にどう進めればいいんだろう?」とお困りの方は、当コンサルサービスにぜひご相談ください。
経験豊富な専門スタッフと共に、実務的なアドバイスを提供させていただきます。

存続法人は吸収法人の財産や債務、労務上の責務などをすべて引き継ぎます。そのため、弁護士や会計士などの専門家による事前調査(デューデリジェンス)を行う必要があります。社会福祉法人の合併や事業譲渡でも、事前調査(デューデリジェンス)がなぜ必要なのか別記事にまとめますので、お待ちください
まとめ

今回は、合併契約書の作成から締結までの流れ、消滅法人の手続き、実際の事例における取組みをご紹介しました。
特契約書には法令に基づく項目を網羅し、透明性を確保することが求められます。
また、消滅法人の適切な解散手続きや、合併後のスムーズな運営を目指した工夫が成功のカギとなります。
▼合併契約を締結する前には「合意形成」「役員等の検討」というステップが必要となります。こちらも以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひ読んでみてください。

【社会福祉法人愛生会 理事長】趣味は神社仏閣巡りです。大宮の氷川神社と成田山新勝寺はずっと通い続けています。これからの社会福祉法人経営の悩み、問題、課題を一緒に考えていきましょう。

再び「スラムダンク」にはまっています。「最後まであきらめない」気持ちが仕事に向き合う姿勢と共感するからでしょうか。休日には「乗り鉄」の子供と一緒に関東近郊に「電車の旅」に出ています。車窓を見ながら本を読む時間が楽しみです。

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