『所轄庁の認可』~社会福祉法人の吸収合併のための手続き その6〜

本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」に基づき、

この記事の内容・合併認可申請に必要な書類と自治体ごとの違い
・吸収合併申請の項目について
・所轄庁制度の見直しと注意点

を詳しく解説します。

▼今回解説する「所轄庁の認可」の前段階である「評議員会の承認」については、以下の記事をごらんください。

所轄庁へ合併認可申請は必須条件

社会福祉法人が合併を進める際、最も重要な手続きの一つが、今回解説する「所轄庁の認可」です。

この認可を受けることで、正式に合併が成立し、効力が発生します。

POINT認可を得られなければ、どれだけ内部で準備を進めていても、法的には合併が成立しません。

早めの事前相談が合併手続き成功の鍵

合併の計画が進み、具体的な内容が決まってきたら、早めに所轄庁である自治体の担当部署に相談しましょう。

所轄庁との連携が不十分だと、必要書類の不足や手続きの遅れが発生する可能性があります。

むらき

合併の交渉をしている段階でも、同時進行で所轄庁である自治体の担当部署へ相談していきましょう!

申請に必要な書類

所轄庁に認可申請を行う際には、所定の書類を用意する必要があります。

POINTただし、必要な書類や手続きは自治体によって異なる場合があるため、詳細は各自治体の案内を確認してください。

具体例として、以下の自治体の案内を参考にしてください。

むらき

このように自治体によって、提出する書類が異なることもありますので、しっかりとその自治体に確認していくことが大切ですね!

吸収合併申請の項目

合併認可を申請する際には、吸収合併に関する具体的な項目を含めた書類を提出する必要があります。

合併認可申請書以外の添付書類は、所轄庁によって独自の様式が用意されている場合があります。

事前に所轄庁の担当窓口に相談しながら準備を進めていきましょう。
効率化のために、専門家へ手続きを委任するのもおすすめです。

申請書類に含める項目は以下の通りです。

POINT

提出前に詳細を確認し、過不足のないように準備しましょう。

むらき

書類の作成にあたっては、弁護士や行政書士など専門家にお願いすることも検討してみてはいかがでしょうか。

平成28年度の社会福祉法改正

平成28年度の社会福祉法改正では、所轄庁制度の見直しが行われました。

この改正により、法人が事業を展開する範囲に応じて、所轄庁が異なる場合があるため注意が必要です。

POINTポイントとしては、「存続法人の所在地が所轄庁を決定する」ということです。
たとえば、【秋田県にある法人A】と【千葉県にある法人B】が合併し、法人Bが存続法人となる場合、合併後の主たる事務所が千葉県にあるため、千葉県が所轄庁となります。

※ただし、その主たる事務所が政令市や中核市である場合、その政令市や中核市が所轄庁になる場合もありますので、そこも含めてしっかりと当該自治体とは事前相談をしていきましょう。

このように、どの自治体が所轄庁となるかは、合併後の事務所所在地によって決定されます。

まとめ

今回は、社会福祉法人の吸収合併において重要なステップである「所轄庁への認可」について解説しました。

認可を得られなければ、法的には合併が成立しません。

早めに担当部署と相談しながら準備を進め、必要書類を整えましょう。

また、平成28年度の法改正を踏まえ、所轄庁がどこになるのかを確認し、手続きがスムーズに進むようしっかり準備を整えましょう。

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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