『調査・検討の準備』|社会福祉法人の事業譲渡のための手続き その③

本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」に基づき、

この記事の内容社会福祉法人が事業譲渡を進める際の「調査・検討の準備」について

をわかりやすく解説します。

譲渡事業が譲受法人で継続可能か確認する

「調査・検討」を進めるにあたり、まず「譲渡する事業が譲受法人で問題なく継続できるか」を確認することが非常に重要です。

こちらについては、以下の過去記事を参考にしてください。

調査・検討の準備」の実施事項

では、本題の「調査・検討の準備」のステップにうつりましょう!

このステップの実施事項は、以下の4つです。

事業譲渡方針の相互確認及び秘密保持契約(譲渡側、譲受側)

社福経営者Aさん

相互確認?具体的には何を確認するのでしょうか?



むらき

まず、譲渡側と譲受側の間で『事業譲渡の目的』を明確にしておきましょう。その上で、秘密保持契約を結んで情報を安全に共有することが重要です!


POINT

・事業譲渡方針の確認: お互いの目的をすり合わせ、誤解を防ぐ。

・秘密保持契約の締結: 機密情報の流出を防ぎ、信頼関係を構築する。

「まずは話し合って『何のために事業譲渡をするのか』をお互いに確認し合うことが大切です。

秘密保持契約を結ぶことで、安心して情報を共有できる環境を整えることができます。

事前協議の実施(譲渡側、譲受側)

社福経営者Aさん

事前協議ではどんな話をすればいいですか?



むらき

譲渡する事業の範囲や、資産や負債の内容について具体的に話し合います。特に職員の転籍などが伴う場合や、建物や設備など資産と負債についても、すべてクリアにならなければ、スムーズな譲渡には繋がりません。



POINT
  • 事業譲渡の目的や背景:どうして事業譲渡をするのか、その理由や経緯を共有します。

  • 譲渡後の理念や目標:事業譲渡後、どんな組織を目指すのかを明確にします。

  • 譲渡・譲受する事業の現状:現在の事業内容や運営状況を具体的に把握します。

  • 事業譲渡の条件:どんな条件で譲渡するのか、譲渡範囲や手続きについて整理します。

  • 譲渡後の施設運営方針:譲渡後の運営体制や方向性を決めます。

  • 職員の処遇や働き方:給与や労働条件、配置など職員が安心して働ける環境を整えます。

上記のポイントを具体的に決めて、問題点や進め方を話し合いましょう。

③基本合意書の締結(譲渡側、譲受側)

むらき

基本合意書は重要な条件を明文化するもので、将来のトラブルを防ぐためにも欠かせません。



基本合意書では、事業譲渡に関する基本的な取り決めをまとめ、譲渡側と譲受側の信頼関係を築きます。
この段階をクリアすることで、事業に関する詳細な調査や分析を安心して進めることができるようになります。

Tipsなお、事業の詳しい調査・分析は基本合意後に行うのが一般的です。

まずは大枠の合意を固め、その後に細かい検討へと進みましょう!

POINT

重要条件を明文化: 資産や負債の詳細、譲渡範囲、譲渡日などを文書化。

お互いの合意を確認: 曖昧な点をなくし、合意を正式に記録する。

社福経営者Aさん

なるほど!基本合意書は、譲渡手続きの『青写真』のようなものなんですね。

 ④委員会などの設置(譲渡側、譲受側)

むらき

この「委員会などの設置」はとても重要なステップとなると思います!ただし、私個人としては、委員会の設置は基本合意する前に設置し、まずはそこでしっかり話し合うことが大切ではないかと思っています。(ここでは、「合併・事業譲渡等マニュアルに沿って解説しています)

POINT

譲渡法人は、譲受する事業の資産や負債、権利関係の範囲や内容を明確にする必要があります。

そのためには、委員会を設置するだけでなく、弁護士や会計士といった専門家に協力を依頼することも検討しましょう。


専門家の助けを借りることで、法的や財務的な確認をしっかり行い、手続きのトラブルを未然に防ぐことができます。

スムーズで安心できる事業譲渡を進めるためには、ここでの準備が成功のカギになります!

社福経営者Aさん

あとあとトラブルがないようにするためにも、専門家の力を借りることで、トラブルを防ぎながらスムーズに進められるんですね!

まとめ

今回の記事では、調査・検討の準備に必要なステップを解説しました!ポイントは以下の通りです。

今回のまとめ
  • 譲渡事業が継続可能か確認: 過去記事を参考に確認を進めましょう。
  • 事業譲渡方針と秘密保持契約の締結: 相互の合意をしっかり形成。
  • 事前協議: 資産や負債の内容を具体的に話し合う。
  • 基本合意書の締結: 重要条件を明文化し、合意を記録。
  • 委員会の設置: 担当者を決め、専門家を活用する。

今回の記事を参考に、計画的に準備を進めてください!

質問や相談があれば、専門家の力を借りることも検討しましょう。

当サイトでも社会福祉法人の合併や事業譲渡についてのアドバイスをしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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