
本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」に基づき、
を詳しく解説します。
新設合併では、今後の法人運営を円滑に進めるため、各種規定やシステムの整備が重要なステップとなります。
▼吸収合併の場合と基本的に同じ流れになりますので、以下の記事も参考にしてください。
規定・システムなどの整備をする意義
本題に入る前に、「規定・システムなどの整備」をする意義について説明します。
新設合併では、複数の法人が統合されることで、それぞれ異なる運営体制やルールが一つにまとめられます。
そのため、規定やシステムをしっかり整備することで以下のようなメリットがあります。

ここは現場レベルでいえば、合併の成否を分ける重要な要素になります。それまでの規程・システムが新しくなることで、それまでの現場での業務習慣が替わり、新たなやり方や流れ等を覚えなければならなくなります。それは職場のストレスや不満を蓄積することにもつながります。また新設合併ということで、どのようなシステムを導入していくのか、そのことを誰がどのような形でイニシアティブをもって進めていくのか、そういった話し合いも必要となります。このあたりは、合併協議をしていく初期段階から決めていく必要があります。
実施事項
規定・システムなどの整備における実施事項は以下のとおりです。
2.委員会などの運営検討
3.各種システムの統合
4.名義変更
以下でひとつずつ解説します。
1. 各種規程・マニュアル類の整理・統合

新設法人を運営するにあたり、各消滅法人が持つ以下の文書を整理し、統一基準を設定します。
◾️業務マニュアル
各事業所で使用される業務手順書や指導ガイド。
◾️就業規則や経理規定
給与計算、経費処理、勤務条件など。
◾️その他の規定
安全管理規程や福利厚生規程など。
2. 委員会などの運営検討
新設法人での委員会運営についても見直しが必要です。以下の手順を参考にしてください。
◾️名称の統一
例えば、同じテーマを扱う委員会が異なる名称で存在する場合は統一します。
◾️運営の合理化
法人全体、事業種別(介護・障がい・保育)ごと、または事業所単位で委員会のテーマや名称を整理します。
◾️規定の修正
新しい運営体制に応じて、関連する規定を修正します。
3.各種システムの統合
各種システムも統合し、新設法人として一貫性のある管理体制を構築しましょう。
具体的には以下のものが対象となります。
・経理システム
・勤怠管理システム など
これらはシステム会社に相談しながら、段階的に統合を進めましょう。
時間を要する場合は、合併後も旧システムを暫定的に運用する対応も検討します。
4. 名義変更
合併に伴い、各種名義変更も必要です。具体的には以下のものが該当します。
・保険契約
・委託契約
・リース契約
・保守契約
・その他、法人名で登録されたシステムアカウント など
また、名義変更に必要な公的証明書として、現在事項証明書の提出を求められる場合が多いため、しっかり準備をしておきしましょう。
▼合併の登記手続きについては、以下の記事をお読みください。
注意点
「規定・システムなどの整備」のステップでは、以下のポイントに注意しましょう。
①スケジュール管理
各種整備作業は時間がかかる場合があります。合併前から準備を始め、段階的に進めることが重要です。
②透明性の確保
すべての変更内容を職員に周知し、運営体制の透明性を保ちましょう。
③専門家の活用
規定やシステム統合のプロセスにおいて、社会保険労務士や弁護士、システム会社などの協力を得ると効率的です。
まとめ

今回は、新設合併における規定やシステム整備について解説しました。
新設法人がスムーズに運営を開始するためには、規定やマニュアル、システムの統一が欠かせません。
また、名義変更や委員会運営の見直しも重要なポイントです。
吸収合併のプロセスと共通する部分を活用しつつ、新設法人ならではの特性を反映させて整備を進めましょう。
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【社会福祉法人愛生会 理事長】趣味は神社仏閣巡りです。大宮の氷川神社と成田山新勝寺はずっと通い続けています。これからの社会福祉法人経営の悩み、問題、課題を一緒に考えていきましょう。

再び「スラムダンク」にはまっています。「最後まであきらめない」気持ちが仕事に向き合う姿勢と共感するからでしょうか。休日には「乗り鉄」の子供と一緒に関東近郊に「電車の旅」に出ています。車窓を見ながら本を読む時間が楽しみです。

大手会計事務所でM&A、組織再編など幅広い案件に携わってきました。地元秋田に戻ってからは、社会福祉法人監査など社会福祉事業に関する業務も手掛けております。皆様の課題解決の一助となれれば幸いです。週末は、小学生の息子と日帰り温泉巡りをしています。
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