物価上昇・インフレのなかでの社会福祉法人経営に必要な3つの視点

インフレ下のなかでの社会福祉法人経営で気を付けなければならないこととは?

上のリンクの記事では、今後中期的(5年ほど)は、インフレのなかで社会福祉事業を経営していかなければならないことと、今回物価上昇・インフレとなった理由や背景を、これまで歴史と比較しながら自分なりに考えてみました。

今回は、そんな状況のなかでの福祉事業経営で気をつけなければならないことは何なのか、

POINT

・デフレ的思考から、インフレ的思考へのマインドチェンジを!
・あらゆる産業で「供給制約」の影響を受ける
・金利が上昇していく世界に備える

こうした3つの視点から考えてみます。

むらき

ぜひ最後までお読みください!

デフレ的思考から、インフレ的思考へのマインドチェンジを!

約25年ほど続いたデフレですが、私たちが判断するときの思考にも

デフレ的な思考

が染みついてしまっています。

デフレとは、物やサービスの価格が下がっていく(逆に現金の価値は上がっていく)状態ですが、そんな状態に影響を受けた考え方になってしまってはいないでしょうか。

そのことを端的にいえば、

今日よりも明日もっと下がるかもしれない、来月になるともっと下がるかもしれない

というような考え方になっていないでしょうか。

例えば、ホテルを予約しようとしたとき、宿泊する当日に空いてる部屋を埋めようと見切り的な価格で出すことも多くありました。

そうすると、

予約取るなら当日とったほうがお得!

ということもあったかもしれません。

しかし現在はどうでしょうか?お得に宿泊できますでしょうか?

インフレとなった現在、物やサービスの価格が上がっていく状態となった今では、そのような考え方で仮にホテルを予約しようとすると、直前であればあるほど高くなっていく、できるだけ早めに予約したほうがよかった、ということもなるのではないでしょうか。

インフレ下では、

POINT今日が一番安いかもしれない、明日にはもっと上がるかもしれない、来月になるとさらに上がるかもしれない

という考え方にならなければなりません。

むらき

社会福祉法人経営においても、これまでのデフレ的考え方から、インフレ的考え方へのマインドチェンジをしていきましょう。

あらゆる産業で「供給制約」の影響を受ける

今後さらにインフレを推し進めるであろう、これからの日本の構造的な問題となるのが、

POINT人手不足からくる供給制約

です。

Tips「供給制約」とは、生産年齢人口の減少が加速していく日本において、物やサービスの需要を満たせるだけの供給ができない状態のことです。

 

▼下記の記事で日本の生産年齢人口の将来推計の話はしています。興味あればぜひ読んでみてください。

我々社会福祉法人が担っている社会福祉事業というのは、介護、保育、障がいといった種別のほとんど(というかすべて)が、労働集約型の事業となります。

そうした労働集約型事業においては、人手の確保がなにより重要になってきますが、そのことの困難さに直面している方も多いのではないでしょうか。

さらにこれからの日本においては、あらゆる産業においても「供給制約」の影響を受けざるを得ないのではないかと思っています。

そうすると我々の事業においても、例えば機械設備や車両などの更新も、すぐにできるわけではありません。

何か壊れたものを修繕しようと思っても、

なかなか業者さんが見つからない、見つかっても来てくれない

ということも起こってくるのではないでしょうか。

ですので人手が足りないということに限らず、あらゆる産業での「供給制約」ということを念頭に、経営にあたる必要があるのではないでしょうか。

金利が上昇していく世界に備えましょう

インフレになることで物価が上昇していく、そうすると

POINT金利を上げて(現金の供給を落とす)、物価の上昇を抑えていく

というのが、世界共通のセオリーです。

下記の記事では、なぜこれだけの物価上昇が起こったのか、アメリカの景気過熱、それに伴うFRBの利上げ、そして日本との内外金利差の拡大による円安の影響ということにも触れていますので、興味があれば読んでみてください。

では、金利が上がっていくと法人経営にどのような影響が出てくるでしょうか。

 

まずは、当然借入金利が上昇してきます。

デフレが長く続いたことによって、借入金利はここ数十年低金利時代が長く続いてきました。

 

また金利が上昇するということが、ここ20年以上(一瞬ゼロ金利政策が解除になった時期はありましたが)ほぼなかったような状況でしたので、ほぼほぼコスト(金利)がかからず、資金を調達することができました。

 

今後資金需要が起こった場合には、これまで同様の金利で借りることができず、ある程度の金利が払って調達(借入)することになります。(ただし、法人が預け入れしているお金についても利息が増えるということにもなります。)

 

さらに、職員たちの住宅ローンなども、変動金利で借りている方たちは金利分の負担が増すことになります。

 

ということは、可処分所得も減っていくということにもなります。

 

このように、「今後の金利が上昇していく」ということも考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

まとめ

インフレ下での社会福祉法人経営に必要な3つの視点ということを、

POINT・デフレ的思考から、インフレ的思考へのマインドチェンジを!
・あらゆる産業で「供給制約」の影響を受ける
・金利が上昇していく世界に備える

という3つの視点から見てきました。

これからの時代、これまでの常識やあたりまえを変えていく必要があります。

また人手不足はもとより、機械設備の修繕などあらゆる状況で、供給制約の影響を受けるのではないかと思います。

そして金利のある世界に備えることも必要ではないでしょうか。

この記事を読んでくださった皆さまの、これからの社会福祉法人経営の一助になれたらと思います。

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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