『合併契約書の作成』~社会福祉法人の新設合併のための手続き その1〜

本記事では、厚労省「合併・事業譲渡等マニュアル」に基づき、

この記事の内容・新設合併における「契約書作成」の実施事項
・消滅法人の手続き

を詳しく解説します。

新設合併とは

POINT新設合併とは、複数の社会福祉法人が合併し、既存の法人がすべて消滅して新たな法人を設立する形の合併を指します。

これは、吸収合併とは異なり、全ての法人が対等な立場で合併に参加し、新しいスタートを切るという特徴があります。

Tips新設合併を選択することで、法人の名称や運営方針を一から再構築できるため、両法人の文化や強みを融合させた新しい体制を作ることが可能です。

ただし、全ての法人が解散し、新設法人を立ち上げるため、手続きや調整が複雑になる場合があります。

基本的なプロセスは吸収合併と同じ

POINT社会福祉法人の「新設合併」について、その基本的なプロセスは「吸収合併」の場合とほぼ同じです。

今回解説する「合併契約書の作成」の前段階として、

・合意形成
・役員等の検討

がありますが、吸収合併のパターンとほぼ同じですので、以下の記事を参考にしてください。

▼合意形成について

▼役員等の検討について

契約書の作成における実施事項

新設合併の合意形成の実施事項は、以下のとおりです。

POINT1.合併契約書の作成
2.合併契約書の締結

1.合併契約書の作成

合併契約書作成の流れは、以下のとおりです。

合併契約書作成の流れ1.各法人が合併の目的や条件を明確にし、契約書案を作成します。

2.作成した案を基に、両法人で詳細を検討します。

3.必要に応じて、専門家の助言を受けながら最終的な内容を確定させます。
むらき

本来であれば、この合併契約書を取り交わすまでに、デゥーデリジェンスなどを行って、互いの法人のリスクも含めた実情を知っておく、さらに新設合併の役員や組織体制なども決めていかなくてはなりません。就業規則等の各種規程などをすり合わせ・統合していく必要があります。ある意味この合併契約書を取り交わす以前の話し合い・交渉が、非常に重要だということですね。

1-1.合併契約書に含めるべき主な項目

合併契約書には、法的要件をすべて含むことが求められます。

合併契約書に含めるべき主な項目は以下の通りです。

合併契約書に含めるべき主な項目
  • 消滅法人の名称及び住所
    合併により消滅する法人の情報を明記します。


  • 新設法人の目的、名称、主たる事務所の所在地
    新たに設立される法人の基本情報を記載します。
    これにより、合併後の運営方針を明確にします。


  • 新設法人の定款で定める事項
    新設法人の組織運営の基本ルールを定めます。
    定款には、法人の目的、事業内容、役員構成などが含まれます。


  • 合併効力発生日(登記予定日)
    合併が正式に効力を持つ日付を明示します。
    登記完了日を基準として、すべての合併手続きが完了します。


  • 職員の処遇
    合併後の職員の雇用条件や役職について具体的な取り決めを記載します。

1-2.理事会での審議と承認

合併契約書を作成したら、各法人の理事会で契約内容を審議し、承認を得ます。

POINTこの際、議事録を作成し、記録として残しましょう。

2.合併契約の締結

2-1.評議員会での承認

POINT合併契約について完全に合意したら、評議員会を招集します。

そこで決議を採り、正式に締結します。

こちらも議事録を作成し、記録として残しましょう。

透明性を確保するため、評議員全員に対して十分な説明を行い、納得を得ることが重要です。

消滅法人の手続きについて

まとめ

今回は、新設合併における「合併契約書の作成」について解説しました。

新設合併では、新たに法人を設立するという点が吸収合併と大きく異なります。

そのため、契約書には新設法人の詳細情報を記載し、職員の処遇や組織体制に関する新しいルールを明確にすることが重要です。

一方で、基本的な手続きの流れや合併契約書作成の意義自体は、吸収合併と大きく変わりません。
吸収合併に関する以下の記事も参考にしてください。

関連記事

▼合意形成について

▼役員等の検討について


▼(吸収合併における)合併契約書の作成について

社会福祉法人の経営や合併・事業譲渡でお悩みの方へ

「何から手をつければいいのか分からない…」
「判断の材料がほしい」

そんなお悩みに、専門的な視点からアドバイスいたします。
無料相談も承っておりますので、まずはお気軽に お問い合わせ ください!

村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

お問い合わせフォーム