【質問回答3】社会福祉法人の合併・事業譲渡や財産処分に関するお悩みQ&Aまとめ

この記事では、セミナーなどで、皆さまから実際に寄せられたお悩みや疑問、ご質問について、私からの回答も合わせてご紹介します!

 

もくじ
  1. 合併・事業譲渡に関する質問
  2. 財産処分についての質問
  3. 事業縮小/廃止についての質問

合併・事業譲渡に関する質問

Q1. 将来、M&Aや合併、事業譲渡を検討する必要があるかもしれません。株式会社との合併に関わる諸問題についてお聞きしたいです。

今後の運営方針として、単独での継続か、他法人との連携かを検討されているのですね。
その上で、重要なポイントがいくつかあります。

POINTまず、社会福祉法人が合併できる相手は、同じく社会福祉法人のみです。
株式会社や医療法人、NPO法人などとは合併することは制度上できません

一方で、

事業譲渡(または譲受)という形であれば、他法人との連携は可能です。

ただし注意点として、

POINT第一種社会福祉事業(例:特養、保育所など)を譲渡できる相手も、基本的には社会福祉法人に限られます。

事業の種類や相手法人の属性によって、選択肢やルールが大きく変わるため、早い段階で制度を整理しておくことが重要です。

Q2.社会福祉法人の専任事業でないものを承継する場合、注意すべきことはありますか?

ご質問の「社会福祉法人専任ではない事業」というのが、たとえば第一種社会福祉事業以外(=第二種や公益事業など)を指している場合としてお答えしますね。

このような事業は、制度的には承継自体に特別な制限はないケースが多いですが、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

POINT・第二種であれば、その事業主体はさまざな主体が参入してきますので、「競合が多くなる」、「すでに多くある」という状況があるかもしれないということは、しっかり認識されたほうがいいかもしれません。

・さらに承継する際には、デューデリジェンスなどでその事業所の実態をしっかり把握されることも必要かと思います。

事業承継を考える際や、譲受にあたってのデゥーデリジェンスを希望される場合には、ぜひお問い合わせください!

Q3.将来、事業承継を考える際にコンサルタントを活用する場合、選び方のポイントはありますか?

事業承継にあたって、専門家(コンサルタント)のサポートを受けることはとても有効です。
ただし、一口にコンサルといってもさまざまな方がいますので、選ぶ際には以下のポイントに注意してみてください。

専門家選びのポイント・社会福祉法人制度に精通していること
・さらに各種別の社会福祉事業にも精通していること
・社会福祉法人特有の公益性・公共性を理解していること

信頼できる相手と一緒に進めるためにも、複数の候補者と話してみることをおすすめします。
私たちにご相談いただくのも全く問題ありません!お問い合わせください!

Q4.人口減少や役員・職員の確保が厳しくなる中、合併や事業譲渡の検討はいつから始めればよいのでしょうか?また、準備にはどれくらいの期間が必要ですか?

とても現実的で重要なご質問です。

POINTただし、「この時期から動き出すのがベスト」という明確な基準はありません。

まずは今お考えの危機感などが、法人内で共有されているかを確認してみてはいかがでしょうか。

役員の皆さんがそれらをしっかり認識、共有され、今後の連携等に向けて動こうとされているかはとても重要なことかと思います。

また合併や譲渡、連携、どれをとっても相手がいる話となりますので、どのくらいの期間になるかということは一概には申し上げられません。

さらにいえば、すでに赤字となっている事業を譲渡することはかなり難しくなるかと思います。逆の立場(譲受側)になれば、お分かりですね。それらのことにも留意しながら考えていくのがよろしいかと思います。

Q5.特定医療法人と社会福祉法人が合併して、社会福祉法人になることは可能ですか? その場合のメリット・デメリットは?

このご質問に関しては、まず大前提となるルールがあります。

POINT社会福祉法人と合併できるのは、「社会福祉法人同士」に限られます。
(※ 社会福祉法 第48条に明記されています)

つまり、医療法人や株式会社、NPO法人など他の法人格との合併はできません。

こちらのご質問でも回答しておりますので、ご参照ください^^

Q6.社会福祉法人が医療法人の病院を引き継ぐときは、不動産を寄付でもらい、職員と営業権を引き継ぐ形になるのでしょうか?

はい、ご質問のような方法も可能です。
(もし当該不動産を無償譲渡とした場合には医療法人側での背任行為などにならないかは注意が必要かと思います。)
そして事業用不動産(ここでいえば病院等)を有償にて購入することも可能です。

ただし、社会福祉法人会計からお金を拠出するには、無料・低額診療所など社会福祉事業として引き継ぐことが条件となります。

さらにその対価設定については不動産鑑定士などの客観的な知見を求められることがあります。
(法人資産の法人外流出にあたらないことも求められるため)

収益事業として実施する場合には、営業権の対価も含めて社会福祉法人会計からお金を拠出することはできません。

▼よろしければ以下の記事で詳しく解説しておりますので、お読みください。

Q7.事業所の不動産価格を決めるとき、どのように協議の場を作ればよいですか?仲介業者が「簿価」で進めようとするのですが…。

とても重要なご質問です。
不動産価格の決定は、譲渡側・譲受側の双方にとって大きな意味を持ちます。

POINTそのため、後々トラブルにならないように「しっかりとした協議の場」を設けることは当然であると考えます

譲渡側と譲受側では、利害は相反しますので、互いが納得する価格とならなければなりません。

簿価での譲渡価格ですが、仮に実勢価格に比べて安価であれば、譲渡側は法人資産の法人外流出にあたることになりますし、譲受側ではその差額分を利益として計上することになります。

▼以下の記事にて詳しく解説していますので、よろしければお読みください。

Q8.事業譲渡のときに、職員が辞めずにスムーズに異動してもらうにはどうすればいいですか?

このことに関しては、当該職員たちへの説明を尽くすしかないと考えています。

私たちのような福祉現場の仕事は、人がいてこそ成り立つ仕事です。

POINT「譲渡=雇用が不安定になるのでは?」という職員の気持ちに寄り添いながら、「これからも変わらず、あなたの力が必要です」というメッセージをしっかり伝えることが重要だと思います。

▼以下の記事でも詳しく解説していますのでお読みください。

Q9.事業譲渡において、キーになる職員(認知症グループホームのケアマネなど)が退職した場合の取り決めはどうしたらいいでしょうか?

たとえば「グループホームのケアマネ」など、その人がいないと運営が立ちゆかないような職員が辞めてしまったら──。
これは事業譲渡の現場でも、しばしば起こりうる心配ですね。

POINT民間企業のM&Aでは、「キーマン条項」という考え方があります。
これは「この人が辞めたら、契約を見直す」といった重要人物の継続勤務を前提にした条項です。
社会福祉法人においても、そのような条項を盛り込むことが適当か議論されるべきと思います。

やはりその職員への説明や処遇改善(給与増)などを尽くすしかないのではないでしょうか。

ですので、仮に事業譲渡である場合、譲渡が決まる前にしっかりとした話し合いをしたうえで、譲渡交渉を進めるようにするのがいいのではないかと思っています。

▼以下の記事でも解説しておりますのでお読みください。

財産処分についての質問

Q1. 行政の要請で開設した施設でも、廃止時に「財産処分」は必要なんですか?要請されて作ったのに、なぜ法人が責任を負うのですか?

はい、必要になります。

POINTたとえ行政(市区町村など)から「この施設を作ってほしい」と要請を受けて開設した事業所であっても、補助金を使って整備した施設であれば、廃止時には「財産処分」の手続きが求められます。

質問者のように「納得がいかない」と感じる方は少なくありません。

私自身も、「法人の責任ではなく、少子化など社会的要因で廃止せざるを得ない場合は、考慮されるべきではないか」
と、国に対して繰り返し訴えています。

だからこそ、一緒に声をあげてください。

制度が実際の状況を全く反映していないというのはよくあることです。
だから現場からの声を挙げていくことで、制度を見直すきっかけになることもあります。

理不尽を感じたときは、ぜひ行政や関係団体に声を届けてください。

事業縮小/廃止についての質問

Q1.人口減少社会では縮小や需要消滅も視野に入れた施策をとるべきではないかと考えています。事業規模の最適化に踏み出すためのアドバイスをお願いします。

POINTまず、「縮小ありき」で考える必要はないかもしれません。
それぞれの地域によって状況は大きく異なりますので、地域の実情に応じて判断することが大切です。

その上で、事業の最適化に踏み出すには、しっかりとしたリーダーシップが必要です。

私自身、保育事業の撤退を決断した経験がありますが、そこに至るまでは、以下のような検討を重ねました。

・地域の外部環境やニーズがどう変化していくか
・このまま事業を続けるべきかどうか

そして最終的には、自ら「撤退」を決断し、そこからは粛々と実行していきました。

厳しい判断かもしれませんが、「自分たちの法人がこの地域でどう在るべきか」を軸にして考えていくことが重要だと思います。

Q2.事業縮小も視野に入れるべきでしょうか。

はい、供給制約と需要消失が入り混じる時代において、
これまでと同じやり方で事業を拡大するのは難しくなると感じています。

ただし、それが即「縮小すべき」ということではありません。
むしろ大切なのは、自法人の置かれている状況や、地域のニーズの変化を丁寧に把握することです。

・地域にどれだけの需要が残っているのか
・人材や資源をどこまで確保できるのか
・他法人との連携や再編の可能性はあるか

といったことを冷静に見極めた上で、将来の方向性を検討していく必要があると思います。

Q3.事業の休止や廃止で気をつけるべきことはありますか?

事業の休廃止を考える際は、制度上のルールにも注意が必要です。
特に大事なポイントは以下の通りです。

POINT休止中の事業は、指定の更新ができません。
 → 更新には「実際に事業を実施していること」が前提となっています。

・そのため、休止期間が長くなってしまうと、最長6年で指定が失効します。

・6年以内に再開できなければ、事業の廃止となる点にはご注意ください。

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村木 宏成

福祉の世界にたずさわり、さまざまな種別の福祉事業に取り組んできました。 生産年齢人口の急減に伴う「供給制約」、出生数減少に伴う保育需要の減少、後期高齢者数のピークアウトに伴う「需要消失」、そうした課題が、それぞれの地域ごとに並列していく時代がきています。これからの社会福祉法人は、それぞれの地域での福祉サービスを継続していくためにも、法人の合併・事業譲渡・社会福祉事業の再編統合なども視野に入れていかなければなりません。 社会福祉事業を経営するあなたの事業の悩み、問題、課題の最適解を一緒に考えていきましょう。 趣味は神社仏閣巡り 大宮の氷川神社、成田山新勝寺には長年通い続けています。

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